2012年5月5日土曜日

社団法人 先端技術産業戦略推進機構 HIA > 重点プロジェクトのご紹介 > 低炭素型直流送電システム・プロジェクト > 概要


T.前奏

1956年、南極観測国際プロジェクトの開始に伴って、東北大学は若手の研究者を送り出した。この人達が評価される業績は、南極大陸から氷を採集して来たことが挙げられる。氷を融かしたときに炭酸ガスが出て来るが、その量はその氷が氷結したときの南極の大気の中のCO2の密度によって決まっていることが分かったので、測定値から南極大陸のCO2密度が第一図に示すように上昇しており、しかも毎年毎年ひどくなっていることが示されている。この山本義一東北大学教授のお考えを、大阪大学社会経済学研究所教授だった稲田献一博士が岩波書店出版雑誌「世界」に紹介されたのが、レイチェル・カーソンが「サイレント・スプリング」を1959年に出版して環境問題を世に問うたのより若干はやかった。しかし、当時、世は未だこれ� ��肯定する程進んではいなかった。西澤は山本と同じ東北大学に居たが、山本から教えを享けたことはなく、稲田に教えられて、1990〜1996年当時学長の任にあった東北大学で、総力を結集して環境改善に向かわせようとしたが果せなかった。しかし、そのために、第一図に示すように、山本らの得ていた実測結果を基礎にして、今後、如何に変ってくるかを推定するために、Analytical continuing method を用いて、実験曲線のextrapolationを行って、同図に示すcurvesを得た。どこまでdrawingするのが正しいかは当時分かっていなかったが、後に身体各処からCO2をつけて肺臓に到達したヘモグロビンも肺に入って来た吸気の中にCO2が4%あると、CO2がヘモグロビンに附着して、再び身体各処に運ばれるから、実質的に酸素が全く補給されなくなって、人体のすべての生理活動が停止することになる。当然、その前に生理活動が完全には行われなくなってしまう。


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図に示した計算を行った当初では電気工学者の習癖として、3%をとった。概して正当な値だったが、これは全くの偶然であった。結果は約200年後となった。4%でもほとんど同様である。
西澤と全く独立に将来予想をされたのはプリンストン大学教授眞鍋淑夫博士である。海底にたまっているメタン・ハイドレートが、英国海洋沖を航海中だったオランダ船の真下で沸騰爆発して船が轟沈したことから、世界中の深海、湖沼にそれが大量にたまっていることが明らかとなった。この結果を数値解析したところ、50年程度で、爆発・CO2増加・温暖化そして再び爆発というサイクルを繰り返し、瞬時にして、地球上は生き地獄と化すと発表された。しかも既に15年程度経過していると考えられるから、あと35年、正に残された時はなくなっ て来ていることになる。

U.脱石油

一度燃した石油石炭を再製することはほとんど不可能である。地球大気中のCO2を吸収し肥大化した羊歯や硅藻類が、倒壊し地下に埋没、地球内部の高温かつ巨大圧力の下で熱処理されてできた石油・石炭について、同じ様な状況を実現して再製しようとしても、より大きなエネルギーを費やすだけのことで、エネルギー開発とは全く逆である。即ち、現在の石油・石炭を燃してエネルギーをとることは、先ず中止しなくてはならない。大切に温存して、CO2を放出しないようにしておく必要がある。
つまり、別のエネルギー源を求める必要がある。
今後も相当長い間エネルギーを送ってくれるであろう太陽に甘えてゆくことが先ず最も賢明であるし、活用しなければそのまま何処かへ行ってしまう太陽エネルギーは逃げる前に利用� ��せていただくのが先ず最も賢明な手法である。曰く、雨→水力、光→太陽電池、風→風力発電といった分野が今でも注目されている。この中で、設備に資金を多く要しないこと、安定していて使い易いことなどが要求される。


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V.各編

1. 水力発電
電気を先ず照明に、次いで動力エネルギーとして利用したのは、トーマス・エジソンで、照明に使って人間の夜の文化を形成して行ったのは人類文化への甚だ大きな貢献だった。次いで、産業革命のエネルギー源を切り換えて電気にしたのだが、この時点で、電気の半ばは火力発電だったから、単に輸送を楽にしたに止まった。
電気を水力から送ることは、ナイアガラの滝などで当初から実践されており、1950年には60%、2000年には18%と石油に押されて減少して来ていたとはいえ、運転費が低いことから、依然として有利な方法である。この点で、運転費が低いと考えられる原子力よりも更に期待が持てる。しかし、今のところ余り利用が進んでいない。
その利用は、電気の輸送が決して楽ではないことにある。 長距離送電では線の太さを細くすることが経済性から重要で、そのために、電圧を高くして、電流を少なくすることが求められる。そのためには変圧器による電圧変換を自由にできる交流送電が有利で、さしもの天才エジソンも、テスラ、スタインメッツ、ウェスティングハウス連合軍によって、会社を倒産させてしまった。
しかし、交流送電にも欠点があり、電気振動が送電線に起こって端末で反射し、ときどき絶線破壊を起こすので、理論的には30kmが限界といわれて来た。日本では、送電線にインダクタンスを持たせ、電力用コンデンサで共振させて電気を楽に運ばせるというやり方で、日本の猪苗代発電所から東京まで700kmも運んでおり、やる気になったときの日本人の器用さも相当のものである。何れにしても、電気の発生地� �消費地との間を余り遠くとることは出来ず、これが発電できる場所が自然によって決められている水力発電の欠点となって利用が頭打ちになっていたといえよう。


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2.直流変圧器の発明
もし、直流変圧器ができれば、インダクタンスを線路に分布させ、発振や振動の起こりにくい線路を張ることができる直流送電が著しく有利となる。
西澤の発明した Static Induction Thyristorで直流をchoppingすることによって、電流の断続波とし、これを対象的に交流変圧器にInputすると、Alternative Currentとなる。20KHZを出して99%、30KHZを出して98%である。30KHZを出すと、特異な優れた聴覚を持つ人間も犬も発生する音を聞くことはできなくなる。
この20〜30KHZの電流を変圧器に入れて100万Voltを出すこともできるから、AC超高圧を出すことは容易であり、総合効率は98〜97%で、これをDC(direct current)に直すのにはSI Thyristorでもpinダイオードでも可能であって、損失は1%、結果としては100MVolt dcを出すこともでき、総合効果は97〜96%であるが、compensating CCTを利用することによって既に98%を実現しており、更に極最近99%に到達したとの研究報告も行われた。全体として1%損失になった。
現在実用中の交流送電線に直流を流してゆけば、1万kmで15%の電力損になる。1.4倍の直径にすれば、2万kmで15%という勘定になる。北極から南極まで、15%損失で送電できることになる。
様々なことがいわれるが、現在のダムは農業用がその目的の殆どで、発電専用ということにすれば遥かに低廉で、しかも只見川水系のように頂上の沼沢沼発電所を利用してエネルギーの貯蔵効果も期待出来る。
この水力でどの程度のエネルギーが期待できるかというと、全陸地に降る全雨量が平均高さのところに集中すると近似して計算すると、その水の高さの全エネルギーの0.1〜0.01%を水力電気に変換でき� ��とすると、世界中の全エネルギー需要はまかなえる勘定になる。ガソリン車の燃料も電気エネルギーで合成して作るとか、燃料電池の燃料も同じことで合成しておいて使えばよいことになる。


W.今後の計画

水力発電の発電所の建設には案外時間がかかる。その間は原子力発電所を必要とする。直流送電線を建設しながら、水力・原子力発電所を計画的に建設し、人間の生活に支障を来たさない方式で、需給のバランスのとれるところまで、計画を実現していく必要がある。
現在1MV直流送電は関西電力などで実用化試験が行われている。直流変圧器も実際に組み立てられて試験が行われている。SI Thyristorはこれまでのところ工業化が遅れていたが、試作は既に20年も前に行なわれ、Prof.Bariger(NC Universitiy)は、このSI Thyristorから巨大な分野で実用されたIGBTの着想を得て工業化に成功したと論文に書いてくれた。超高速超大電流デバイスとして、並ぶものがない。いよいよ、出番で、人類救済研究開発機構としたい。既に西沢が提唱し、漸く実現された分子構造を利用したテラヘルツ帯電波を利用した細胞制御薬理学、医学時代の到来である。環境は、人間に限らず、ヴィールス、細菌に対しても悪化しており、苦しんだ細菌やヴィールスは変異を生じ易い。人間も、これに対して極めて短い時間に対策することを強いられる。これには最も向いた手法で、かつてStar WarsのLasar Gunに擬せられたことがあり、今後、防衛兵器の最有力候補でもある。これらを併せて、地球救済技術開発機構として展開させていただけることも心から望んでいる。
地球シミュレーターの結果は我々のこの計画が極めて重要であることを示していると考えられている。一刻も早い実現と対応を切望する次第である。



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